アテゾリズマブによるNSCLC アジュバントの成績は?(IMpower010)[Lancet, Oct 2021]

Adjuvant atezolizumab after adjuvant chemotherapy in resected stage IB-IIIA non-small-cell lung cancer (IMpower010): a randomized, multicenter, open-label, phase 3 trial.
Felip E, Altorki N, Zhou C, Csőszi T, Vynnychenko I, Goloborodko O, Luft A, Akopov A, Martinez-Marti A, Kenmotsu H, Chen YM, Chella A, Sugawara S, Voong D, Wu F, Yi J, Deng Y, McCleland M, Bennett E, Gitlitz B, Wakelee H; IMpower010 Investigators.
Lancet. 2021 Oct 9;398(10308):1344-1357.

Lancet誌2021年10月9日号に掲載。
完全切除されたⅠB~ⅢA期非小細胞肺がん(NSCLC)における化学療法アジュバント後の抗PD-L1抗体アテゾリズマブを評価した無作為化第III相非盲検試験IMpower010で、アジュバントでのアテゾリズマブはBSCに比べ、良好な無病生存(DFS)を示した。
対象は、完全切除後のⅠB(腫瘍径4cm以上)~ⅢA期NSCLCで、腫瘍細胞におけるPD-L1発現の解析が可能だった患者1,280例。術後化学療法としてシスプラチン+ペメトレキセド、ゲムシタビン、ドセタキセルまたはビノレルビンを1~4サイクル投与後に、術後補助療法としてアテゾリズマブ1,200mgを21日間隔で最長16サイクル投与するアテゾリズマブ群(507例)とベストサポーティブケア(BSC)を行うBSC群(498例)に1:1でランダムに割り付けた。主要評価項目は担当医評価によるDFSで、階層的に①腫瘍細胞におけるPDL-1の発現(PD-L1 TC)が1%以上でⅡ~ⅢA期の患者集団(アテゾリズマブ群248例、BSC群228例)、②ランダム化された全てのⅡ~ⅢA期の患者集団(同442例、440例)、③intention-to-treat(ITT)集団(ⅠB~ⅢA期、同507例、498例)の順に解析を行った。副次評価項目は、ITT集団における全生存(OS)、PD-L1 TCが50%以上のⅡ~ⅢA期の患者におけるDFSなどであった。
中央値で32.2カ月追跡した結果、主要評価項目でPD-L1 TC 1%以上でⅡ~ⅢA期の患者群におけるDFSは、3年時がBSC群の48.2%に対しアテゾリズマブ群では60.0%、中央値がそれぞれ35.3カ月(95%CI 29.0カ月~評価不能)、評価不能(同36.1カ月~評価不能)で、層別ハザード比(HR)は0.66(95%CI 0.50~0.88、P=0.0039)と事前に設定した有効性の有意水準を超えていた。 Ⅱ~ⅢA期の患者におけるVentana OptiView PD-L1(SP263)アッセイに基づいたPD-L1の発現状況別およびEGFR/ALK変異陽性の有無別にDFSのHRを見たところ、EGFR/ALK変異陽性集団(882例)では、PD-L1 TCが1%未満で0.97(95%CI 0.72~1.31)、1~49%で0.87(同0.60~1.26)、50%以上で0.43(同0.27~0.68)、全例で0.79(同0.64~0.96)だった。ITT集団のDFSのHRは0.81であった。再発率に関しては、Ⅱ~ⅢA期でPD-L1 TCが1%以上の集団ではBSC群の44.7%に対しアテゾリズマブ群で29.4%、Ⅱ~ⅢA期の全ランダム化集団ではそれぞれ43.0%、33.3%、ⅠB~ⅢAのITT集団では40.8%、30.8%と、いずれもアテゾリズマブ群で低かった。アテゾリズマブによるグレード3・4の有害事象は11%で発生し、グレード5事象も4件(1%)発生したが、これまでに認められている安全性プロファイルと同様であり、新たな安全性上の懸念は示されなかった。
以上のように、PD-L1発現1%以上の集団で顕著なDFS改善が認められ、FDAの優先審査に付され、切除可能肺がんの周術期治療に免疫チェックポイント阻害薬オプションを新たに加えた。

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