Stage III 結腸癌に対するOxaliplatin 併用術後補助化学療法の投与期間(3 ヵ月vs.6 ヵ月)に関する無作為化第III 相試験(ACHIEVE 試験)[J Clin Oncol. May 5, 2022]

Final Analysis of 3 Versus 6 Months of Adjuvant Oxaliplatin and Fluoropyrimidine-Based Therapy in Patients With Stage III Colon Cancer: The Randomized Phase III ACHIEVE Trial
Yoshino T, et al.: J Clin Oncol. May 5, 2022

ステージ III結腸癌に対するOxaliplatin+フッ化ピリミジンによる6ヵ月間の術後補助化学療法は、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)を延長することが示されており、2004年以降、術後の標準治療として確立していた。しかしながら、特にOxaliplatin長期投与に伴う持続的な末梢神経障害(PSN: peripheral sensory neuropathy)が臨床的に問題となることが多く、治療期間の短縮が望まれた。そこで、Stage III結腸癌を対象としたOxaliplatin併用術後補助化学療法に関して、6ヵ月間投与に対する3ヵ月間投与の非劣性(および毒性軽減)を検証する6つの前向き試験の統合解析を行う国際共同研究であるIDEA collaborationが計画された。ACHIEVE試験は、IDEA collaborationの6試験の1つで、Oxaliplatin併用術後補助化学療法の6ヵ月間投与に対する3ヵ月間投与の非劣性を検証した本邦で行われた非盲検無作為化第III相試験である。2019年に本試験の結果は論文報告されているが、本論文では長期フォローアップにおける最終解析結果が報告された。本試験のフォローアップ期間中央値74.7ヶ月時点における結果は下記の通りである。主評価項目である5年DFSは、3ヵ月群で75.2%、6ヵ月群で74.2%であった。治療レジメン別の5年DFS(3ヵ月群vs. 6ヵ月群)は、mFOLFOX6群で各々68.6%、69.7%、CAPOX群で各々77.4%、75.8%であった。また、再発リスク別の5年DFS割合(3ヵ月vs. 6ヵ月)は、低リスク群で各々86.5%、84.8%、高リスク群で各々60.7%、61.5%であった。再発リスク別/治療レジメン別のDFSに関するサブグループ解析では、低リスク群において3ヵ月のmFOLFOX6は、6ヵ月のmFOLFOX6と比較して悪い転帰である可能性が示唆された。一方、低リスク群における3ヵ月のCAPOXは、6ヵ月のCAPOXと比較して良好な転帰である可能性が示唆された。高リスク群においては、いずれの治療レジメンでも3ヵ月群と6ヵ月群で概ね同等の転帰であった。DFSに関する多変量解析では、T4(vs. T1-3)、N2(vs. N1)、郭清リンパ節12個以上(vs. 12個未満)、CAPOX(vs. mFOLFOX6)がDFSの独立した予後因子であった。
副次評価項目である5年全生存率(OS)はmFOLFOX6療法またはCAPOX療法3ヶ月間投与群の87.0%に対してmFOLFOX6療法またはCAPOX療法6ヶ月間投与群で86.4%を示した。また、サブグループ解析の結果、患者背景、治療期間による全生存期間(OS)の差は確認されなかった。一方の安全性として、5年以上続いた末梢神経障害(PN)は3ヶ月間投与群の8%に対して6ヶ月間投与群で16%、mFOLFOX6療法群の14%に対してCAPOX療法群で11%を示した。ステージIII結腸がん患者に対するオキサリプラチン、フッ化ピリミジン系製剤系ベースのアジュバント療法は、投与期間3ヶ月間、6ヶ月間により有効性に差は確認されませんでした。また、末梢神経障害(PN)発症率も有効性と同様の結果でした。
 3ヵ月のOxaliplatin併用術後補助化学療法は、6ヵ月と比較して遜色ない臨床転帰が得られ、持続的なPSNの頻度が減ることが長期フォローアップにおいても一貫して示された。IDEA collaborationにおいて、6ヵ月群に対する3ヵ月群の非劣性は統計学的には示されていないものの、Stage III結腸癌に対する術後補助化学療法CAPOX 3ヵ月は、特に低リスクの患者において最適な治療である可能性が示唆された。

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