Association of ultra-processed food consumption with colorectal cancer risk among men and women: results from three prospective US cohort studies.
Lu Wang, Mengxi Du, Kai Wang, Neha Khandpur, Sinara Laurini Rossato, Jean-Philippe Drouin-Chartier, Euridice Martínez Steele, Edward Giovannucci, Mingyang Song, Fang Fang Zhang
BMJ 2022; 378 doi: https://doi.org/10.1136/bmj-2021-068921 (Published 31 August 2022)
2022年8月31日号 British Medical Journal掲載の報告。
大腸がんの発生は世界中で日増しに大きな問題となっており、その原因としてソーセージやインスタント麺といった超加工食品を大きく取り上げている。食品加工に伴う加熱処理、保存性の向上のための塩、砂糖やその他食品添加物、加工処理に伴う有害生成物、自然食品に含まれる抗酸化物質等の喪失等が発がん機序に深く関与していると推測されているが、十分に解明されているとはいえない。それでも、加工食品の普及につれてその利便性とは逆に有害性の側面がクローズアップされており、最近は超加工食品による発がんへの関心が急速に高まっている。
大腸がんの発生に密接に関係する超加工食品(炭酸飲料、ソーセージ、ビスケット、キャンディー、インスタントスープ/麺、甘味/塩味スナック菓子、加糖牛乳およびフルーツ飲料など)に対する前向き男女別の3つの医療従事者コホート(男性コホート:Health Professionals Follow-up Study、女性コホート:Nurses’ Health Study I and II)研究の成果が報告された。
男性では、超加工食品摂取量の最高五分位範囲群が最低五分位範囲群と比べ、大腸がんリスクが29%高かった(ハザード比[HR]:1.29、95%信頼区間[CI]:1.08~1.53、傾向のp=0.01)。こうしたリスク増大の関連性は、遠位大腸がんでのみ認められ(HR:1.72、95%CI:1.24~2.37、傾向のp<0.001)、BMIや食事の栄養面の質指標で補正後も、関連性は有意なままだった。一方で女性については、超加工食品摂取量と大腸がんリスクとの関連は認められなかったが、ヨーグルトや乳製品ベースのデザートの摂取量が多いほど、大腸がんリスクが低いことが認められた(HR:0.83、95%CI:0.71~0.97、傾向のp=0.002)。
本研究は、男性で超加工食品摂取と遠位大腸がんリスクの間に正の関連を初めて見いだした。確立された大腸がんの危険因子である肥満が、超加工食品と遠位大腸がんのがん化に関連性がなかったことから、超加工食品の追加属性が遠位大腸がんのがん化に深く関与する可能性を示すと理解された。大腸がんの発生が性差で異なる理由は不明であるが、超加工食品の利便性と有害性を理解することで、現代社会を健康的かつ安全に生き抜くために食の在り方を見直す必要がある。
