ペムブロリズマブの非小細胞肺がんアジュバントがPD-L1 発現問わずDFS 延長/Merck [Lancet Oncology,Oct 2022]

Pembrolizumab versus placebo as adjuvant therapy for completely resected stage IB-IIIA non-small-cell lung cancer (PEARLS/KEYNOTE-091): an interim analysis of a randomized, triple-blind, phase 3 trial.
O’Brien M, Paz-Ares L, Marreaud S, Dafni U, Oselin K, Havel L, Esteban E, Isla D, Martinez-Marti A, Faehling M, Tsuboi M, Lee JS, Nakagawa K, Yang J, Samkari A, Keller SM, Mauer M, Jha N, Stahel R, Besse B, Peters S; EORTC-1416-LCG/ETOP 8-15 – PEARLS/KEYNOTE-091 Investigators.
Lancet Oncol. 2022 Oct 1;23(10):1274-1286.

Lancet Oncology誌2022年10月1日号に掲載。
ペムブロリズマブは既に進行非小細胞肺がん (NSCLC) に対する標準治療薬であるが、IB-IIIA期のNSCLCを完全切除した場合のアジュバント療法として評価された。この無作為化三重盲検第3相試験 (PEARLS/KEYNOTE-091) の対象は、18歳以上で、完全切除され、米国がん合同委員会病期分類 (第7版) により病理学的にIB期 (腫瘍径4cm以上) 、II期、IIIA期のNSCLCで、組織型やPD-L1発現レベルを問わず、Eastern Cooperative Oncology Groupのパフォーマンスステータスが0または1である患者とし、補助化学療法は必須とはしなかった。病期、アジュバント化学療法の既往、PD-L1発現、および地域によって層別化し、ペムブロリズマブ 200 mgまたはプラセボに1: 1でランダムに割り付けられ、いずれも3週間ごとに最大18サイクルまで静脈内投与された。主要評価項目は、全患者集団とPD-L1腫瘍割合スコア (TPS) が50%以上の患者集団における無病生存(DFS)率とし、有効性はintention-to-treat (ITT) 集団を対象に評価された。
2016年1月20日から2020年5月6日の間に、スクリーニングされた1955名のうち1177名 (60%) が、ペムブロリズマブ (n=590、うちPD-L1 TPSが50%以上のn=168) またはプラセボ (n=587、うちPD-L1 TPSが50%以上のn=165) にランダムに割りつけられITT集団に含まれた。本中間解析のデータカットオフ (2021年9月20日) 時点の追跡期間中央値は35.6ヶ月であった。
全集団において、DFS期間中央値はペムブロリズマブ群53.6ヵ月 (95% CI 39.2~未到達) 、プラセボ群42.0ヵ月 (31.3~未到達) であった (HR 0.76 [95% CI 0.63~0.91]、p=0.0014) 。PD-L1 TPSが50%以上の集団では、DFS期間中央値はペムブロリズマブ群 (95% CI 44.3~到達せず) 、プラセボ群 (95% CI 35.8~到達せず、HR 0.82 [95% CI 0.57-1.18]; p=0.14) とも未到達であった。グレード3以上の有害事象は、ペムブロリズマブ群580人中198人 (34%) 、プラセボ群581人中150人 (26%) に発現した。いずれの群も10名以上に発生したグレード3以上の事象は、ペムブロリズマブでは高血圧 (35例:6%) および肺炎 (12例:2%) 、プラセボでは高血圧 (32例:6%) であった。重篤な有害事象は、ペムブロリズマブ群142人 (24%) 、プラセボ群90人 (15%) に発生し、参加者の1%以上に発生した重篤な有害事象は、ペムブロリズマブでは肺炎 (13例:2%) 、気管炎 (12例:2%) 、下痢 (7例:1%) 、プラセボでは肺炎 (9例:2%) であった。治療関連死亡は、ペムブロリズマブ群4人 (1%) (心原性ショックと心筋炎の両方によるもの1人、敗血症性ショックと心筋炎の両方によるもの1人、肺炎によるもの1人、突然死によるもの1人) 、プラセボ群では1人であった。
ペムブロリズマブは、完全切除されたPD-L1非選択のステージIB-IIIA NSCLCにおいて、プラセボと比較してDFS期間を有意に改善し、新たな安全性シグナルとは関連しなかった。ペムブロリズマブは術後補助化学療法の有無に関わらず完全切除後IB-IIIA期NSCLCに対する新しいアジュバント治療の選択肢になる可能性があるが、PD-L1発現による結果などデータのバラツキが問題である。

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