Osimertinib in Resected EGFR-Mutated Non-Small-Cell Lung Cancer.
Wu YL, Tsuboi M, He J, John T, Grohe C, Majem M, Goldman JW, Laktionov K, Kim SW, Kato T, Vu HV, Lu S, Lee KY, Akewanlop C, Yu CJ, de Marinis F, Bonanno L, Domine M, Shepherd FA, Zeng L, Hodge R, Atasoy A, Rukazenkov Y, Herbst RS; ADAURA Investigators.
N Engl J Med. 2020 Oct 29;383(18):1711-1723.
2020年9月19日号 NEJM誌オンライン版掲載の報告。
オシメルチニブはEGER変異陽性進行NSCLCに対するファーストライン標準治療であるが、術後補助療法としての有効性と安全性については不明であった。国際共同無作為化二重盲検第III相試験「ADAURA試験」の結果、EGER変異陽性病理病期IB~IIIA期の非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法において、オシメルチニブはプラセボと比較して無病生存期間(DFS)を有意に延長した。
完全切除後のEGER変異陽性Stage IB~IIIAのNSCLC患者682例を、オシメルチニブ群(339例)とプラセボ群(343例)に1対1の割合で無作為に割り付け、1日1回80mgを最大3年間投与した。主要評価項目は、Stage II~IIIA患者集団における治験担当医の評価によるDFS、副次評価項目はStage IB~IIIA全患者集団におけるDFS、全生存期間(OS)、安全性などである。
24ヵ月時点におけるStage II~IIIA患者のDFS率は、オシメルチニブ群90%(95%信頼区間[CI]:84~93)、プラセボ群44%(37~51)であった(ハザード比[HR]:0.17、99.06%CI:0.11~0.26、p<0.001、層別log-rank検定)。また、全患者集団における24ヵ月DFS率は、オシメルチニブ群89%(95%CI:85~92)、プラセボ群52%(46~58)であった(HR:0.20、99.12%CI:0.14~0.30、p<0.001)。24ヵ月時点で、オシメルチニブ群の98%(95%CI:95~99)、プラセボ群の85%(80~89)が生存しており、中枢神経系への転移も確認されなかった(HR:0.18、95%CI:0.10~0.33)。全生存のデータは必要イベント数が不足していたが、死亡は29例(オシメルチニブ群9例、プラセボ群20例)であった。安全性に関してはこれまでの報告通りで、新たな懸念は確認されなかった。 プラセボに対してプライマリエンドポイントである無存再発期間(RFS)をHR 0.17という見たことのない差でmetしたが、多くの議論が沸き上がっている。「OSを待つ必要がある」という意見も見掛けるが、完全切除のNSCLCに術後補助療法を行う目的は根治である。古くから5年生存が根治と見なされてきた経緯があるものの、近年術後再発した後の化学療法が非常に発達しているため、OSのみでは必ずしも根治の指標でない可能性がある。より厳密に根治率の改善を検証するためには長期DFS率が妥当と思われる。「分子標的薬で根治が得られるか」という疑問に対しては、まだ十分な答えがない状況である。今回の解析では多くの患者がオシメルチニブ3年間投与の途中であり、よりハイリスクなStageIIIAのサブセットでは36ヵ月で再発が増えているようにも見え、内服終了後の再発増加が認められるかは今後見ていく必要がある。
