Overall survival with circulating tumor DNA-guided therapy in advanced non-small-cell lung cancer.
Jee J, Lebow ES, Yeh R, Das JP, Namakydoust A, Paik PK, Chaft JE, Jayakumaran G, Rose Brannon A, Benayed R, Zehir A, Donoghue M, Schultz N, Chakravarty D, Kundra R, Madupuri R, Murciano-Goroff YR, Tu HY, Xu CR, Martinez A, Wilhelm C, Galle J, Daly B, Yu HA, Offin M, Hellmann MD, Lito P, Arbour KC, Zauderer MG, Kris MG, Ng KK, Eng J, Preeshagul I, Victoria Lai W, Fiore JJ, Iqbal A, Molena D, Rocco G, Park BJ, Lim LP, Li M, Tong-Li C, De Silva M, Chan DL, Diakos CI, Itchins M, Clarke S, Pavlakis N, Lee A, Rekhtman N, Chang J, Travis WD, Riely GJ, Solit DB, Gonen M, Rusch VW, Rimner A, Gomez D, Drilon A, Scher HI, Shah SP, Berger MF, Arcila ME, Ladanyi M, Levine RL, Shen R, Razavi P, Reis-Filho JS, Jones DR, Rudin CM, Isbell JM, Li BT.
Nat Med. 2022 Nov;28(11):2353-2363.
2022年11月10日号 Nature Medicine誌掲載の報告。
リキッドバイオプシーによる循環腫瘍DNA(ctDNA)解析は治療方針の決定に役立つが、そのほとんどが小規模コホートでの研究で、全生存期間への影響を判断するのに十分なエビデンスがない。非小細胞肺癌でctDNAに基づく治療を受けた患者1,127人の国際コホートを前向きに追跡調査した。ctDNAの検出は、臨床病理学的特徴および腫瘍量とは独立して、生存期間の短縮と関連していた(ハザード比(HR)=2.05;95%信頼区間(CI), 1.74-2.42, P<0.001)。検出可能な ctDNA を有する 722 例(64%)のうち,ctDNA解析結果から標的療法にマッチした255例(23%)は,標的療法を受けなかった例よりも生存期間が長かった(HR=0.63; 95% CI, 0.52-0.76; P < 0.001).同時期に組織を用いた遺伝子解析では検出されなかったctDNAのゲノム変化が、患者の25%に認められた。これらのctDNAのみの変化には、RICTORおよびPIK3CAの変異を含む治療抵抗性のサブクローナルドライバーが多く、短い生存期間と関連していた。低侵襲のctDNAプロファイリングにより、組織を用いた遺伝子解析では捉えられないような不均一なドライバー遺伝子を特定し、より良い治療へのアクセスを拡大するできる可能性がある。
リキッドバイオプシーの有効性、特に日本における標準治療終了後のタイミングではなく、もっと早期から且つ複数のタイムポイントで行うことが重要であることは解ってきた。日本では「一生に1回の保険適応(±標準治療後のみ)」である。この論文のdiscussionでは「リキッドバイオプシーは失敗率が低く、結果が出るまでの時間が短いため、薬局や在宅クリニックへの展開に適しており、地域社会における精密医療への障壁をさらに低くすることができる。」とまで言っている。本研究で非常に興味深いのが下図で、①変異が検出されてマッチした治療を受けた患者の予後が最も良く、②ctDNAが検出されなかった患者の予後が2番目 ③ctDNAが検出されマッチした治療を受けられなかった患者の予後が最も悪いという結果である。
